ヘスティアとともにある家(ホーム) – 中心への帰還
ブライアン・クラーク著 鏡リュウジ訳 (公式サイト:https://ryuji.tv/)
By Brian Clark Translated by Ryuji Kagami
English text to follow.
私たちの世界は、心臓がトクンと鼓動を鳴らすほどの一瞬の間に、一変してしまいました。突然の、そして想定外の変化には不安がつきまとうものです。そして変化にともなう不安が募ると、想像力という本能は破綻、破滅といった方向へと想像力を導いてしまうことが多いのです。だからこそ、このようなときには、神話の物語を語ることが助けになるのです。神話は私たちの想像力の視線をシンボルと元型へと向けさせてくれます。そして私たちの人間らしさを支えているのは、このシンボルや元型なのです。シンボルや元型はこの字義的な世界を見透かす1ことができるようにしてくれます。そして、毎日毎日大きなニュースとして目に入ってくるウィルスによる症状を見透かすことができるように、言い換えればその暗いニュースを別な仕方で考えることができるようになるのです。
症状2は魂3への道標です。魂とコロナウィルスは外的な現実や出来事と関連するだけではなく、その内的な次元とも一体でもあるのです。招かれざる訪問者が私たちの地球村へと足を踏み入れてきました。私たちはどうしたらいいのでしょう?ヘスティアならどうするでしょうか?
今、世界中で政府は家にいるように、我が家を安全なシェルターにするように指示を出しています!私には、このことが極めて印象的に感じられています。私たちは今、ヘスティアの炉端に呼び戻されようとしています。私たちの焦点を取り戻すために、私たちの中心を再構築するために、私たちの価値を再編成するために、そして過去の歴史の中で私たちが失ってしまったものについて想いを巡らせそれを再発見するために…。そう、自分を深く振り返り、そして創造的であるための時間を過ごす家(ホーム)を取り戻すために。
世界中で、ヘスティアへ、そう、落ち着きと静けさの神的なイメージへと帰ることが推奨されています。ヘスティアのもとで、私たちは今、ここで起こっていることの意味をかすかにでも感知することができるのです。そう、個人的な領域での家族生活のこと、日々の習慣のこと、そして何に価値をおくかについて、あるいは集合的、社会的な意味において人間らしさ、人間性について…。深い変化、転換の場合にはいかなるときもその最初の段階は、静寂に入ることです。そしてこの静けさと落ち着きの中でこそ、私たちはヘスティアの抱擁を感じることができます。
ヘスティアはクロノスとレアの間に生まれた最初の子どもでした。オリンポスの最初の神であり、クロノスに呑み込まれた最初の存在でもあり、クロノスの腹から吐き出された五柱のうち最後の神でもありました。ゼウスはこの悲運からは逃れていましたが、しかし、姉であるヘスティアを第一の女神だと敬意を示し、家族の食事の前に犠牲を捧げるのにふさわしいとみなしました。ヘスティアは最初にして最後に生まれたものです。ヘスティアは外的な世界にたいしてはあまりかかわることがありません。ですが、まさにそのために内的な世界に心を凝らし、焦点を合わせているのです。ヘスティアは[この世界を回す]車輪の外縁にはいません。彼女がおわすのはその中心なのです。この中心は落ち着き、慎重さ、中心を取り戻すこと、静けさ、そして安定性といった性質をもっています。外の世界には煩わされることはないとはいえ、ヘスティアが世界の苦しみに対して冷淡であるわけではありません。ヘスティアのスピリットは聖域、避難所、そして安全な聖地に浸透しています。中心にある家の炉の、この落ち着いた雰囲気の中でこそヘスティアは人々が集うイメージの場を創りたまうわけです。ヘスティアは生きている客人も、死者の魂もともに迎えます。内なるイメージがもう一度息ができるように、心の空間を、そして養いの場を与えるのです。ⅰヘスティアはその門戸の前にくるものすべてを受け入れ、世話をしてくれます。
ヘスティアは、招かれざる客も客として迎え入れてくれます。この女神は、神的なるものはさまざまな言葉で、多くの器を通じて、そしてさまざまなかたちで語りかけるということをちゃんとご存知なのです。だからこそ、扉の前にやってきたものなら誰であれ、ヘスティアは受け入れるわけです。病んだ人にさえ、ヘスティアは安らぎの場を提供します。それがヘスティアという女神の癒しだからです。ここで私はルーミーによる美しい詩「宿坊」ⅱを思い出してしまうのです。この詩はいつでも心に響くものではありますが、今日の状態のなかにおいてはとりわけふさわしいものでしょう。
誰であれやってくるものには快く接しなさい
人は皆、彼方の世界から 導き手として
送られた使者なのだから
暖かな受容(ホスピタリティ)の女神であるヘスティアの存在は、ホスピスや病院(ホスピタル)の部屋の中の安らぎ、静けさ、そして落ち着きの中に召喚されます。ヘスティアは私たちの祈りに込められる慰めであり、ホスピスや病院(ホスピタル)にいる人々にとっての癒しのイメージなのです。
ヘスティアについての神話、彫像、あるいは神殿はほとんど残っていません。ヘスティアが人格化されることはまれです。しかし、家外での人生に力点が置かれるようになる以前には、ヘスティアはもっとも尊敬され、どの家においても中心として崇拝される女神だったのです。古典期のギリシャではヘスティアはオリンポス12神には数えられてはいませんでした。そのころにはディオニソスがヘスティアの代わりに入っていたのです。ヘスティアとハデスの二柱の姉弟の神だけが、オリンポスの神々の家族劇から除外されていました。この二柱の神の場は内的、内向的なものだったのです。ヘスティアとハデスの崇拝、その重要性を今に伝える像や祭壇は、ほとんど残されていません。ヘスティアとハデスは、ともに「場」の神です。このふたりの神が他の物に「とってかわられ」(re-place)「追いやられ」(dis-place)たということは、私たちがこれまでにこの元型、つまり本能的な生の欠かせない面にたいして、文化のレベルで、そして心理学的に何をしてきたかを示す大きなヒントとなっています。現代においてはヘスティアの囲炉裏は、慌ただしく急ぎ足の生活、時間のなさ、外的な世界での仕事の忙しさにとってかわられてしまいました。ヘスティアは中心なるもののイメージですから、外的な像やアイコンとしては人格化されるようなことはありません。いろいろな意味でヘスティアは行方不明になっていて、無意識の中で見失われています。しかし、皮肉なことに安全な家に避難せよという政府からの命令は、私たちにもう一度、この女神に敬意をはらい、私たちの生の中心における存在性と権威を取り戻すように促しているわけです。
心の生の中心であるヘスティアは、聖なる中心点です。ヘスティアは聖なる空間を大切に敬い、聖なるイメージを庇護する女神なのです。ヘスティアは生きているものも死んでいるものも、その炉辺に集うものを受け入れもてなし、世話します。その中心の炉辺で、集中して心を込め、私たちは人生の物語を語り、耳を傾けることができるのです。
炉の炎であるヘスティアは、家の中心であり、私たちの先祖たちも集うことができる場を与える家族生活の主宰者でもあります。またヘスティアは炉の炎の守り人でもあり、人生の中核(ハート)で燃える炎を人格化した存在でもあります。ヘスティアは、例え競技が行われていないときでもずっと燃え続けるオリンピックの聖火なのです。ヘスティアは内的世界を支えています。しかし、外的な生の喧騒のなかでは忘れられがちなのです。しかし、かつては無意識の中にあったヘスティアはこのパンデミックの中で中心に再び姿を現そうとしています。
神話が明かすところでは、ヘスティアとして人格化される、自分自身の中心を見出そうとする本能は、ティタン族の時間の神クロノスによって呑み込まれた最初の神の子ということです。クロノスの後継者であるサトゥルヌス4は権威、組織、外的世界の管理と統括を意味します。それは時間という力を持って、その社会の枠組み、組織は私たちの内的な世界である炉辺に中心付けることが必要な心の存在を呑み込んでしまうのです。ヘスティアはクロノスの連合から最後に解放される性質面を人格化しています。私たちはいま、中心に立ちかえる創造的な営みに心をむけるよう、誘われているわけです。
私たちがこれまで知っていたクロノスは、その支配をちゃんと手放して、人間生活の中の真の優先順位、価値、そして倫理や自分自身であること(integrity)を再認識させてくれるようになったでしょうか?
ヘスティアを大切にすることができないということは、自分の中心とのつながりの満ち、自分の落ち着き、自分の内的な生をないがしろにすることです。ヘスティアとの関係性をきちんと取り戻すことができなければ、私たちはすっかり疲弊してしまうかもしれません。ヘスティアは、ヘスティアを忘れた世界をもう一度リセットし、再び中心を取り戻すために、私たちをその炉辺へと招いています。落ち着きをもって静かにする勇気をもつ世界、そして、癒しの力をもつ世界へもう一度、私たちを誘っているのです。
以上
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ちょっとした補足
ここに訳出したのはこの世界的な危機の状況の中でブライアン・クラークさんが書かれた「ヘステイア」の元型についての文章です。僕の翻訳でブライアンさんの美しい文の響きがうまくお伝えできたかどうか自信はありませんが、Stay Homeと強迫的に言われ続ける今、Stay Homeの意味を別の角度から感じ、考えるための一助となれば幸いです。
ブライアンさんは世界的な占星術家でもありますが、同時に「元型的心理学者」としても一流だと言えるでしょう。元型的心理学とはユング派の分析家ジェイムズ・ヒルマンが創始した、ユング心理学の中のひとつの潮流で、ユング心理学を狭いセラピールームからより広い世界へと展開し、文化や社会そのものを元型の視点から見直していこうとするものです。
ブライアンさんがStay Homeの号令の背後に透かし見る神話的元型は女神へスティアです。ヘスティアは、「オリンポスの神々の中で一番知られていない」神であり5、「この女神には神話がない」6とされています。アフロディーテやアポロンと比べると、その存在感はずっと小さいと言わざるを得ません。けれど、ヘスティアはブライアン先生も指摘するようにオリンポスの神々の長子でもあり、また最後に開放された存在でもあります。そしてヘスティアは目立った自身の神殿はない代わりに、「すべての人間の家と神々の神殿に祭られる特権」7をもっているといいます。
歴史的にはヘスティアは、それぞれの家庭の竈や炉の炎、そして神殿に設えられた犠牲を捧げる炎の擬人化でもありました。
ブライアン先生は、その透徹したイマジネーションによって、期せずして私たちが家HomeへとStayさせられているのは、元型的なレベルでヘスティアの帰還につながっているのではないかと指摘されます。私たちの過去の文化は、どうしても「外向的」でした。外に出て働け。成功せよ。未開の地を開拓せよ。競争し、打ち勝て。そのためには、時間を無駄にせず、忙しく立ち振舞え。昨日より今、今より大きな明日を!それはアポロン(栄誉と成功)、アレス(軍功)、ゼウス(拡大)、プロメテウス(進歩と技術)の衝動だったといえるかもしれません。しかし、どの神、あるいは元型にも影の面があります。それは強迫的になって時間とともに私たちを追い立てるようになったとき(クロノス)、私たちの生を枯渇させてしまうかもしれないのです。
もうひとつのエッセイでブライアン先生は、「パンデミック」が元型的、占星術的に「パン」の神とのつながりがあるのではないかという指摘をされました。パンは文明に追われてきた自然の象徴です。そこで今回のことは「パン」を再度、意識化するための機会ではないかと見えてくるわけです。そして、今回もこれまでないがしろにされてきた、自分の内なる中心を表すヘスティアの再臨として、今の状況を「見透かす」(seeing through)してみてはどうか、ということなのでしょう。
ここで、少しばかり僕の方からも思いついたことを付け加えさせてください。
それは、ヘスティアはアルテミスやアテナと並んで「処女」の女神であるということです。処女というのは何も未熟で幼いという意味でも、あるいは男性と関わりを持たないという意味でもありません。神話的、元型的には処女性とは「自己充足している」という意味であり、自分が自分であるために他者に依存する必要がないということなのです。これはもちろん、女性にも男性にも当てはまることでしょう。
この「パニック」の中では情報過多になり、不安に突き動かされがちです。家の中にいてもネットやテレビから常にさまざまな情報が入り乱れ、その中で正いか悪かを雄弁に語る声に同調してしまいがちです。そこで私たちは自分の「処女性」を見失い、中心が揺らいで、誰かを声高に非難してしまうこともあるかもしれません。
Stay Homeがヘスティアへの回帰への祈祷であるなら、それは同時に、私たちの中の処女性、自己の中心軸の想起でもあるのではないでしょうか。
へスティアは古代においてはしばしば、ヘルメスの神と対としても考えられたそうです。ヘスティアが家庭の内的平和の象徴であり、家の中心である炉の人格化であるのに対し、ヘルメスの柱石(ヘルム)は家と外界の境界である敷居に置かれていたということです。ヘルメスはコミュニケーションの神でもあり、家にこもっていたとしても、私たちはなにかのかたちで誰かと、また社会とつながっているのです。
またヘスティアはローマ神話ではヴェスタと呼ばれるようになりました。占星術で小惑星を用いておられる方は、これがベスタであることはもうおわかりですね。現在(2020年4月上旬)、小惑星ベスタは双子座を運行中です。このベスタが何を告げているか、想像してみるのも面白いかもしれません。
余計なおしゃべりはこの辺にしましょう。美しく示唆に富んだブライアン先生の文章が内なるヘスティアに私たちを導くことを祈って。
鏡リュウジ
[脚注]1 見透かす:seeing through
これはユング派の心理学者ジェイムズ・ヒルマンの言葉の用い方に基づいている。ヒルマンはすべての背後に元型的イメージを見る。文字通り、具体的に(リテラルに)物事を見ることに重ねて、イメージをもってみて、ブライアンさんの言葉を借りれば「別な仕方で考える」という程の意味。ただし、ここで「見透かす」といってもそれが覆い隠されていた真実を見透かす、よりよく理解するという意味ではないことに注意されたい。それではまた別の方向に観念を字義化してしまうことになってしまう。ヒルマンはこのシーングスルーによって「我々は困惑しつつ境界を漂うのであり、この境界にこそ深みが存在するのだ。ここには確実性の増大というより、神秘の拡大がある」(ヒルマン箸入江良平訳『魂の心理学』青土社1997年)
2 症状:symptom
ヒルマンの元型的心理学では魂は「病理化」する働きをもつと強調されている。魂はさまざまな病や症状を通して自らを表すという視点である。シンプトムとは「共に落ちる」「共に起こる」が語源であり、魂と常にともにある。したがって短絡的に「症状的苦しみからの解放を求めて医療的ないし行動的療法に入るときには、魂が除外され」て「魂と症状が二つに分裂」してしまう。ヒルマンは「症状に立ち返ることによって、魂を症状に立ち返らせ、魂それ自身の生における中心的な価値を再興しようと試みている」という。(ヒルマン前掲書)ここでのブライアンさんの「症状」という言葉にはこのような含意があると考えられる。
3 魂:soul
ここでの魂、ソウルを近代のスピリチュアリズム、心霊主義やニューエイジで考えているような実体化した魂、霊魂と混同してはならない。ここでの魂は具体的、具象的なものではない。ヒルマンやムーアによれば、魂とは具体的な実態ではなく、ある「観点」(perspective)であり、出来事を経験に深めるもの、そして肉体と抽象的な観念(スピリット)を媒介するものでもある。訳者(鏡)の乱暴な言い換えをお許しいただけるなら、魂とは言語化しきることができない、個人的でもあり(私にしかわからない)、しかし集合的でもある(誰かとイメージを通して分かち合うことが可能な)心と身体の動きの総体とでもいえるだろうか。
4 ローマのサトゥルヌスはギリシャ神話のクロノスと同一視された。ともに占星術では土星。
5 ジーン・シノダ・ボーレン箸 村本詔司・邦子訳『女はみんな女神』新水社1991年
6 高津春繁箸『ギリシャ・ローマ神話辞典』岩波書店1960年
7 沓掛良彦訳注 『ホメーロスの諸神讃歌』平凡社 1990年
ⅰ原注:Barbara Kirksey, “Hestia: A Background of Psychological Focusing”, from Facing the Gods, editing by James Hillman, Spring Publications, Inc. University of Dallas, Irving, TX:1980
p.110 彼女はhospitality, host, hospital, ghost and guestのつながりを含めた語源を論じている。
ⅱ原注:Rumi 『宿坊』を見よ http://www.sagemindfulness.com/blog/rumi-s-poem-the-guest-house
At Home with Hestia – a return to centre
by Brian Clark
Our world changed in a heartbeat. Anxiety frequently accompanies sudden and unexpected change. And when the anxiety of change is elevated, the instinct to imagine often turns to an imagination of ruin or doom; hence, why telling mythic stories during this time can be of assistance. Myth turns our imaginative eye to the symbols and archetypes that sustain our humanness. They support us in the process of seeing through the literal world. So how might we see through, or find a way of thinking about, the viral symptoms that capture our day-to-day headlines.
Symptoms are signposts to the soul. Soul does not consign the Coronavirus exclusively to an exterior reality or an event, but also identifies its inner dimension. An unwelcome visitor has been brought to the doorstep of our global village. What do we do? What would Hestia do?
I find it extraordinary that around the world governmental guidelines are directing us to stay home, to seek the shelter of our home-place! We are all called home to Hestia’s hearth to regain our focus, to relocate our centre, to realign our values, to reflect on and to recover what’s been lost over time: home to spend time being contemplative and creative.
Worldwide we are advised to return to Hestia, the divine image of stillness and quiet. In Her presence we may get a glimpse of what this time means to us, whether that is personal reflection on family life, our rituals, our values or in a collective way, in terms of our humanness and humanity. The first stage in any profound transition is to go quiet. And in this stillness we can feel Hestia’s embrace.
Hestia was the first-born child of Cronus and Rhea, the first Olympian, the first devoured by Cronus, and the last of his five children to be disgorged from his belly. Zeus escaped this fate, yet the god always acknowledged his sister Hestia as the first goddess, and the one to who appropriate sacrifices must be made before family meals. Hestia is first- and last-born. She remains uncomplicated by the world outside, being centred and focused on the inner world. Hestia is not found on the outer rim of the Wheel, but is situated at its centre, characterizing qualities of stillness, discretion, centring, quietness and stability. While uncomplicated by the world, She is not indifferent, nor unmoved by its suffering. Her spirit pervades places of sanctuary, refuge and asylum. In the still atmosphere of the central hearth She creates the space for images to gather around. She is host to both guests and ghosts, providing the psychic room and nurturing space for inner images to breathe again.1 Hestia is hospitable to all who arrive at her door.
Hestia welcomed the uninvited visitor as guest. The goddess knew that the voice of the divine spoke in many tongues, through many vessels, and in many ways; therefore, whoever arrived on the doorstep was welcomed. Even the diseased was offered hospice, as this was Her way of healing. I am reminded of Rumi’s beautiful poem The Guest House,2 always appropriate, but ever so in the climate of today.
Be grateful for whoever comes,
because each has been sent
as a guide from beyond.
As a goddess of hospitality, her presence is invoked in the guest chambers of the hospices and hospitals through rest, quiet and stillness. She is the balm carried on our prayers and healing images for those in hospices and hospitals.
Few myths, statues or temples remain of Hestia; she is rarely personified, yet before life became focused outside the home, she was the most honoured goddess, worshipped at the centre of every household. By Classical times Hestia was not included as one of the twelve Olympians, having been replaced by Dionysus. Hestia and her brother Hades are the only two siblings who remain separate from Olympian family dramas. Their places are internal, interior and introverted. Few images or alters survive to remind us of their worship or importance in cult. As gods of place, both Hestia and Hades have been re-placed and dis-placed, potent clues as to what we have culturally and psychologically done with these archetypes, these essential aspects of instinctual life. In a modern context Hestia’s hearth has become dis-placed onto the hustle and hurry of life, lack of time and busyness of the outer world. As an image of centre, Hestia is not personified nor remembered by outer images and icons. In many ways she is missing, lost in the unconscious, yet ironically the governmental decree to shelter-at-home invites us to honour the goddess once again, to revive her presence and authority at the centre of our lives.
Central to psychic life, Hestia is the sacred centre – the goddess who honours sacred space and protects sacred images. Hestia is hospitable, welcoming guests and ghosts to gather around her hearth, as here, with focus and attention, we tell and hear the stories of life.
As the hearth, Hestia is the centre and focus of the home, the curator of family life offering a place where our circle of ancestors can gather. As custodian of the hearth, She personifies the fire burning at the heart of life, the fireplace of the home, and the flame lit in the city centre. She is the Olympic flame that will burn even though the games cannot be played. She sustains the inner world, but has been forgotten in the stampede of outer life. Formerly consigned to the unconscious, she reappears in the centre of this pandemic.
The myth reveals that the instinct for centring ourselves, personified by Hestia, is the first divine child consumed by Cronus, the Titan god of time. Saturn, Cronus’s successor, characterizes authority, organization, management and control of the outer world and along with time, this corporation devours the presence of mind needed to be centred at the hearth of our inner world. Hestia personifies the last qualities to be released by the cartel of Cronus. We are called back to the hearth to contemplate the creative act of centring.
Has Cronus, as we’ve known Him, finally released enough control to reset our human priorities, values, ethics and integrity?
When we do not honour Hestia, we dishonour an archetypal pathway that connects us to our centre, our stillness, our inner life. We risk being drawn out before we have fully repaired our relationship to Hestia. She invites us back to the hearth to help reset and re-centre the world that forgot Her, a world brave enough to be still. A world still enough to heal.
End.
1 Barbara Kirksey, “Hestia: A Background of Psychological Focusing”, from Facing the Gods, edited by James Hillman, Spring Publications, Inc. University f Dallas, Irving, TX: 1980,
p.110. She explores the etymological connections between hospitality, host, hospital, ghost and guest.
2 See Rumi, The Guest House – http://www.sagemindfulness.com/blog/rumi-s-poem-the-guest-house
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